コンプレッサーのフロン漏えい点検の方法

コンプレッサーのフロン漏えい点検の方法

産業用機器に欠かせないコンプレッサーのメンテナンスにおいて、フロン点検は極めて重要な要素です。フロン類による地球温暖化への影響が深刻化する中、適切な管理と定期点検が企業の社会的責任として求められています。特に2015年のフロン排出抑制法の施行以降、フロン類の使用・管理に関する規制は一層厳格化され、事業者には確実な点検と記録の保持が義務付けられています。

コンプレッサーのフロン漏えい点検の方法

フロン排出抑制法では、業務用の第一種特定製品(エアコンや冷凍冷蔵機器など)を所有する事業者に対して、定期的なフロン漏えい点検を義務付けています。点検頻度は機器の種類や冷媒充填量によって異なり、7.5kW以上の機器では3ヶ月に1回以上の簡易点検が必要です。また、フロン類の充填量が一定量を超える機器については、専門知識を持つ者による定期点検も必要となります。これらの法規制に違反した場合、罰則の対象となる可能性があります。

 

【具体例】
冷凍能力が7.5kW、フロン充填量が5kgのターボ冷凍機の場合:
・3ヶ月に1回の簡易点検
・年1回の専門家による定期点検
・点検記録の3年間保存が必要

 

2. コンプレッサーのフロン漏えい点検の方法
フロン漏えい点検は、視認確認、聴診確認、触診確認の3つの基本的な手法で実施します。まず、機器の外観に油にじみや腐食、錆などの異常がないかを目視で確認します。次に、配管接続部や圧縮機周辺から異常音が発生していないかを確認します。さらに、配管部分に触れて異常な振動がないかを確認します。より精密な点検には、電子式漏えい検知器や発泡液による検査も活用されます。これらの点検結果は、法定の点検記録簿に記入し保管する必要があります。

 

【具体例】
業務用エアコンの漏えい点検手順:
・圧縮機、配管接続部、バルブ類の目視点検
・電子式漏えい検知器による測定(感度0.001MPa以上)
・発泡液の塗布による漏えい箇所の特定

 

3. フロン漏えい時の対処方法と予防保全
フロン漏えいが発見された場合、速やかに専門業者への修理依頼が必須となります。修理にあたっては、漏えい箇所の特定と修繕、フロンの回収・充填作業が行われます。フロン排出抑制法に基づき、一定規模以上の業務用エアコンやコンプレッサーでは、漏えい量が年間1,000CO2-t以上の場合、事業者は国への報告が必要です。予防保全としては、定期的な点検と適切なメンテナンスが重要です。特に配管接続部やシール部分は経年劣化による漏えいリスクが高いため、重点的な確認が必要です。また、振動による配管の緩みや損傷を防ぐため、防振対策や適切な設置環境の維持も欠かせません。

 

【具体例】
・配管接続部からの漏えい:フレア部の増し締めや配管の再施工
・シール劣化による漏えい:Oリングやパッキンの交換
・腐食による漏えい:配管の取り替えや防錆処理の実施

 

定期点検とフロン漏えい防止は、環境保護と法令遵守の観点から極めて重要です。事業者は、適切な管理者を選任し、フロン排出抑制法に基づく点検記録の保管や報告義務を確実に履行する必要があります。また、コンプレッサーの定期的なメンテナンスや部品交換を計画的に実施することで、突発的な故障や漏えいリスクを低減できます。さらに、設備管理担当者への教育・訓練を通じて、日常点検の質を向上させることも重要です。これらの取り組みにより、フロン漏えいによる環境負荷の低減と、設備の安定稼働を両立することが可能となります。早期発見・早期対応の体制を整備し、予防保全の観点から計画的な設備管理を実施することで、持続可能な事業運営を実現しましょう。

 

エアコンフロン点検